屍都市
せっかくここまで守り通してきた命の灯。

しかし理子はその命さえも放棄しようとする。

そんな彼女の手を。

「小野さん…?」

幸羽は無理矢理に引っ張った。

「甘えた事言ってんじゃないわよ!」

グングン理子を引っ張りながら、幸羽は怒鳴る。

「私『達』はね、生きる義務があるの!誰かの犠牲の上で命を拾った人間は、自分の意思だけで簡単に生きる事を諦めたらいけないの!生きる事を諦めたら、犠牲になった人達は無駄死にになっちゃうの!理子ちゃんは小野寺先生や華鈴ちゃんの死を無駄にしたいの?」

「……」

私『達』?

理子は幸羽の言葉に違和感を覚える。

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