屍都市
山田と雄大は、地下鉄のホームで他の生存者が集まってくるのを待っている。

…山田の表情は冴えない。

メールを一斉送信してから約一時間。

誰からも返信がないからだ。

不安が募る。

…もしかしたら、もう生存者などいないのではないだろうか。

生き残っているのは山田と雄大の二人だけで、あとは全員ゾンビによって殺されてしまったのではないか。

最悪の事態を頭に思い浮かべ、全身に鳥肌が立つのを感じる。

と。

「マ…お母さん平気かなぁ…」

ふと思い出したように、雄大が小さく呟いた。

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