屍都市
「え……っ?」

秀一の発言に、8人が驚愕の表情を見せる。

「俺は一ヶ月前の『陰島事件』でゾンビの群れから生還した一人だ。他にもう二人生存者がいたんだが…あの二人はどうやら今回は巻き込まれなかったみたいだな」

そう言った秀一の顔に、僅かに笑みが浮かぶ。

(それでいい…彼女達に二度も地獄は見せたくない…)

それは、地獄を見るのは自分だけで十分だという気持ちの表れでもあった。

「……」

心花と聡は顔を見合わせる。

彼ら喧嘩慣れした二人にはわかっていた。

只のサラリーマンにしては、秀一の身のこなし、危機意識は尋常ではない。

普段から特殊警棒を持ち歩くのも考えられないし、体つきも只のスポーツでは有り得ないほど引き締まっている。

明らかに『襲撃を受けた際に対処する事』を前提とした鍛え方だった。

その事実が、秀一の発言が嘘ではない事を物語っている。

同じく数多くの修羅場を経験した心花と聡には、それが即座に理解できたのだ。

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