屍都市
「そこの二人じゃないけど」

純が言う。

「私も単独行動をさせてもらいたいわ。協力するって提案に不満はないんだけど…息子の安否が気がかりなの。工事現場の仲間達の事もね」

純は女性でありながら土木作業員の主任の立場。

部下の安全を預かる立場でもある。

「私も…」

幸羽が秀一の顔を見た。

「自分達だけ逃げるのはちょっと…看護師として、救助活動に協力したいです」

残る理子、華鈴、天野、山田の四人も、それぞれ何か思う所があるようだ。

「……」

秀一は頭をガシガシと掻く。

「わかった。じゃあ強制はしない。だが」

彼はポケットから携帯を出した。

「ここにいる全員の電話番号とメアドを共有しておかないか?何か危険が迫った時や、脱出の情報を手に入れた時に連絡を取り合えるように」

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