屍都市
あまりに変貌したホームグラウンドの光景に愕然としながら、それでも何とか知り合いを見つけ出そうと走る天野。

そのうち。

「!」

彼は見慣れた背中を見つける。

あの真紅のスーツ。

ウチのナンバー2のトキヤじゃないか?

あんな派手なスーツ着ている奴、他に見た事がない。

「トキヤ!」

ライバルであり、いつかは踏み台にして乗り越えてやる標的でしかなかった。

年下で生意気で、口の利き方を知らないむかつく小僧のトキヤ。

それでもこの時ばかりは、見知った背中に会えた事が泣くほど嬉しくて。

「おい、トキヤ!」

肩を掴んで振り向かせた途端。

「う…うぁああぁああぁああぁっ!」

片目のなくなった血塗れのトキヤがこちらを凝視して、天野は呼びかけた事を心の底から後悔した。

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