屍都市
トキヤだけじゃない。

あの銀髪は聖夜、左耳に三連ピアスをしているのはナオト、あっちにはよく店に遊びに来てた、元カノのキャバ嬢である美緒もいる。

どいつもこいつも血に塗れ、ある者は片腕が、ある者は顔半分が、酷い者になると下半身そのものがなく、アスファルトを這いずっている者もいた。

説明の必要もない。

みんなゾンビに食い殺され、その後同じゾンビとして蘇っていたのだ。

「っ…!」

変わり果てたかつての仲間達の異形に、後ずさる天野。

と。

「!」

ポケットの中で携帯が着信する。

秀一から全員に一斉送信されたメールだった。

『ゾンビには絶対傷つけられるな。傷から寄生虫が侵入して、致命傷じゃなくてもゾンビ化してしまうぞ』

そんな内容のメールに。

「ふざけんなよっ!」

誰にともなく、彼は憤りをぶちまけた。

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