屍都市
勿論虚勢など通用する相手ではない。

ノソリ、ノソリと。

一体、また一体。

ゾンビ達は天野に向き直り、感情を感じさせないその白濁した眼で凝視する。

「っっ…!」

背筋を悪寒が走った。

恐怖で縮み上がりそうだ。

だが幸羽がそばで見ている。

女の前でかっこつけるのがホストの仕事だ。

ならばここは退けない、譲れない!

「ってんじゃねっぞぁぁああぁっ!」

本人すら何を叫んでいるのかわからないような不明瞭な雄叫びを上げ、天野はゾンビの群れに猛然と立ち向かっていく!

素手でゾンビを殴り、蹴り、押し倒す!

< 55 / 241 >

この作品をシェア

pagetop