屍都市
やがて渋滞の先頭まで辿り着いた心花は、意外なものを目にする事になる。

…バリケード。

いつの間にこんなものが作られたのか。

高さ5メートルはあろうかという分厚いバリケードが、国道を遮るように設置されている。

その上に立っているのは、迷彩服を纏った兵士達。

自衛隊の部隊だった。

自動小銃を手にして、険しい表情でバリケード下を見下ろす自衛隊員達。

一見すると救助に来たかのように思える。

が、それではこのバリケードが説明がつかない。

国道を閉鎖するこのバリケードがある限り、美原市の市民は街から脱出する事が出来なかった。

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