屍都市
周囲の安全を確認して、純はパワーショベルから降りる。

目の前に広がるのは、累々たる屍。

大虐殺の後を彷彿とさせる。

…ゾンビとはいえ、元は人間。

心が痛まなくはないが、純だってこの場で死ぬ訳にはいかない。

「…!…雄大」

思い出したように呟き、彼女はスコップ片手に走り出す。

随分と工事現場で時間を食ってしまった。

息子は…愛する雄大は大丈夫だろうか。

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