シルバーリング



あたしは必死に涙を抑えていた。


いくらなんでも、あれは傷つく。

ムカつくというより…、心が痛くなった。



「…あれ?沖本やん!」


前から聞こえてきた声にあたしは顔を下ろした。


「バイト?

こんな遅くに大変やなあ。」


あたしの前で立ち止まって、あたしの顔を覗きこむ。



「…大丈夫?」


あたしの異変に気付いたのか、優しく問いかけてくれた。


「…っ……!」


海原くんの優しさにこらえていた涙が溢れた。





< 62 / 85 >

この作品をシェア

pagetop