シルバーリング
あたしは必死に涙を抑えていた。
いくらなんでも、あれは傷つく。
ムカつくというより…、心が痛くなった。
「…あれ?沖本やん!」
前から聞こえてきた声にあたしは顔を下ろした。
「バイト?
こんな遅くに大変やなあ。」
あたしの前で立ち止まって、あたしの顔を覗きこむ。
「…大丈夫?」
あたしの異変に気付いたのか、優しく問いかけてくれた。
「…っ……!」
海原くんの優しさにこらえていた涙が溢れた。