オール・アバウトなっちゃん
とりあえず

「ここから流れが速くなりますから…」

と注意を促して圭太に群がる女子大生を観察してみた。

一般的に美人って言える類いの者は居ないが…それは、あくまでも一般論

条件にあてはまる為に気を抜く訳には、いかない。

「なんか…風が生暖かいな…」

この大学生にすら解るか…

おそらく、この風は異変の前兆…

そして生い茂る木の葉の擦れる音

怯えたような鳴き声の鳥達

どうやら…恐れていた時が来たようだな…

舟を漕ぎながら辺りの変化を見極めてた私は相当真剣な顔をしてたのだろう

「どうしたの夏希ちゃん?…そんなに怖い顔して…」

心配そうな大学生なんかに構う事なく

「どうやら…おいでなすったらしいな」

そう言って舟の横の岩肌を睨んだ。
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