とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
「ウリ坊!!今日ナンパしに行かね!?」
「またかよ!つかお前俺をダシに使う気だろ…」
放課後ダラダラと帰宅準備をしていると親友の虎太郎がニヤニヤしながらやって来た。
コイツはいつも女の事しか頭にないのだろうか…
「もうすぐ夏休みだってのにウリ坊焦らないわけ!?
しかも高校最後の夏休み!
その思い出にカノジョがいないなんて寂し過ぎる!!」
うわ、なんかスイッチ入った!
目を輝かせて暴走しだした親友に思わず吹き出した。
「フフ…仕方ないな…
でも今日は稽古あるからダメ!
週末にしようぜ?」
伏せ目がちに微笑んで親友を見上げた。
みるみる真っ赤な顔になる様子に気付き、マズいと思った時にはすでに手遅れ。
ガバッと抱きしめられた。
「うきょ~~!!
オレはお前を愛してるぞ~~!!」
「きめーーんだよ!!離せ!!」
虎太郎の腕を振り解くのに悪戦苦闘し、帰る頃にはぐったりだった。