とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
腕時計にふと目をやると17時を回った所だった。
「虎太郎、俺18時に忍のバイト先行くけどお前どーする?」
「あと1時間くらいか。
カフェだっけ?
客として待てばいいんじゃね?
俺も行くよ!」
「別にお前来なくても…」
「ダメ!右京すぐ逆ナンされるから心配!」
「…」
また始まった虎太郎の過保護ぶりに溜め息をついた。
忍のバイト先にバイクを停めるとさっさと中に入っていく虎太郎。
「なんなんだ、あいつは…」
後を追って店の中に入った時、虎太郎は高めのテンションで「忍さーん」と奥のキッチンにブンブン手を振っていた。
「虎太郎くんと右京!?
どうしたの?二人揃って…」
「なんかしらんが虎太郎が付いて来た…」
「冷たいな~右京は…
護衛に決まってんじゃん!!」
忍はその真剣な虎太郎の表情にクスリと笑った。
好きな席に座っていいと言われたので、あまり目立たない奥の席に座った。
「実は今朝忍と軽く言い合いになってさ~」
「忍さんに激甘の右京が珍しいな。」
「大抵の事では言い返さないをだけど、忍がプール行くって言い出してさ…」
「あぁ、明後日だろ?
俺もセリちゃんに誘われた。
右京も行くだろ?」
「そう、俺も行く…って…なんでお前誘われてんの?」
まさか…騙された!?
ガックリうなだれた俺に虎太郎は吹き出した。
「忍さんやるなぁ~
さぞ見物だったろうな!」
そこにコーヒーを運んで来た忍は「“ざまみろ”よ」と言って去って言った。
「…忍さん…意外と怖いな…」