とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
床に仰向けで倒れた男の腹に頭を叩きつけたのでダメージは二人とも大したことないだろう。
『「次はどいつだ?」』
棒立ちの残された取り巻きは怯えた表情になった。
『「終わりか?
ならガクを呼んで来い。」』
ひきつりながら「分かった」と言ってsevenのメンバーは走って行った。
「右京?制御出来るようになったのか?」
「いや人格の統一が長く続かないんだ。
暴走はもうしないと思うけどな。」
それを聞いた虎太郎は安堵したようだった。
しばらくすると、「黒崎!!」と低い声がして振り返った。
そこには確かにガクがいた。
「捜したぜ?」
「みたいだな…
血相変えたメンバーが呼びに来て驚いた。」
ガクは豪快に笑いながら言った。
「入る気になったのか!?」
「いや、チームには興味ない。
だがちょっと頼みがあってさ。」
「なんだ…まぁ気長に待つさ。
で頼みって?」
一呼吸置くと本題を切り出した。
「最近この辺りで女子大生が行方不明になってるのは知ってるか?」
「…“神隠し”だろ?」
「あぁ。それについて詳しい情報が知りたいんだ。」
「知り合いだったのか?」
「…もしかしたら知り合いかもしれないんだ。
“加害者”の方だけどな…」
ガクはちょっと考えて俺に顔を近づけると声を潜めた。
「アレと関係あるのか?」
「アレって?」
「“自然発火”だよ!
しらばっくれんな。」
“自然発火”…俺の力の事か。
「さーな。無いとも言い切れないが…」
「…ワケありっぽいな…
分かった。その情報仕入れてやるよ。」
何か裏がありそうな言い方だが、今は情報が欲しいのでスルーした。