とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
何か分かったら連絡すると言って連絡先を交換した。
「あ~そうだ。“神隠し”の件だが、行方不明になったのは女子大生だけじゃないぜ」
「そうなのか?」
「ああ。間違いない。」
「なんで言い切れる?」
「…被害者が知り合いだからだ。」
俺と虎太郎は顔を見合わせた。
「その話…聞いていいか?」
「お前の秘密知ってるし、フェアじゃないから教えてやるよ。
ついてきな。」
グイッと顎を動かしてから奥の扉に案内された。
通されたのは防音効果がある個室だった。
さっきまでの喧騒な空間と対象的で逆に落ち着かなかった。
「で、ガクの知り合いが行方不明なのか?」
「ああ。アイツは高校生だ。
いなくなる少し前からおかしなヤツらと付き合うようになって、1ヶ月くらい前に音信不通になった。」
「おかしなヤツら…?」
「お前なら信じるか?悪魔ってヤツを…」
一瞬俺と虎太郎は固まった。
「興味深いな。」
「俺は信じないが、アイツは信じてた。
時々“儀式”とか“悪魔”とか口走っててさ。
胡散臭いから止めろって言ってたんだ。」
ガクは悔しそうに語った。
それを聞いた虎太郎は蒼白になった。
「右京…ヤバいな…
思ったより深刻かも。」
「ああ…“悪魔信仰”だ。」
ガクは驚いたように俺達を見た。
「まさかお前らまで信じるのか?
冗談はよしてくれよ!」
「なぁ、ガク。その知り合いは儀式で何をしようとしてたか分かるか?」
「さぁ…俺にはわからない。
でも家出とかするようなヤツじゃなかった!」
「…親しかったのか?」
虎太郎の問い掛けにガクは俯いて答えた。
「…俺の妹なんだ…」