とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
ガクは顔を両手で覆った。
「妹か…」
「これは俺の勘だけど、その怪しい集団は“なにか”を儀式で召還したんだと思う。」
虎太郎の言葉に「まさか!」と首を振るガクを俺は横目で見た。
「虎太郎の考えは多分“アタリ”だろう。
…ガク。
お前は自然発火を信じるのに悪魔は信じないのか?」
「…」
無言で俺を見つめる。
分かっているが、認めたくないのだろう。
「さっき悪魔を信じないと言ったな?
何なら信じる?」
「俺は目で見たものしか信じない。
神なんて幻想だろ…」
「そうか。
まぁいい。信じるも信じないも自由だ。
…でも、真実はひとつだ。」
そう言い残して俺達はまた喧騒の空間に戻った。
「予想以上の収穫だな」
「かなり厄介な収穫だけどな」
「でもカルト集団を見つけ出せば…」
近くに神の側の者がいたら向こうから近づいて来るだろう。
そうなると忍達の身も危険になる。
「ヤツらに見つかるより先にこっちから仕掛けないとだな…」