とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
帰宅した時、時刻は0時を少し過ぎた頃だった。
暗く静かな家に入ると短く息を吐いた。
みんなを起こさないように自室まで行くと、服を脱いでベットに寝転んだ。
だが色々考えてしまってなかなか寝付けなかった。
妹が行方不明のガクの事や、カルト集団…召還された“悪魔”…次々頭に浮かび上がって目が覚めていく…
やがて“もし忍が行方不明になってしまったら?”なんて事まで頭によぎってムクリと起き上がった。
そっと部屋を出ると忍の部屋の扉を静か開けた。
ベットで眠る忍を見てホッとする。
「…」
静かにベットの縁に座ると忍の寝顔を覗き込んだ。
そっと顔にかかる髪を指ですくい耳かけるとちょっと身じろいだ。
顔を近づけて額にキスを落とすと小さく「おやすみ」を言って自分も部屋に戻って眠りについた。