とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
その様子にガクは首を傾げた。
「…なんだよ…」
『「ガク。現実主義のお前に見せてやるよ」』
「え?黒崎…?」
密室の中に風が巻き起こった。
「なっ!?」
俺は自分の両腕を抱くと目を閉じた。
吹き荒れる風の渦の中心にいる俺をガクは唖然と見つめた。
一気に強まった風圧にガクが目を瞑り、再び目を開けた時…
「…マジかよ…」
“俺”はフワリと舞い降りた。
「マジよ。右京は天使だもの。」
『「天使ではない。“堕天使”だ。」』
「…すげぇ…」
唖然と俺を見つめて動けないガク。
『「これでお前は信じざる負えない」』
「…あぁ…信じたくねーがな…」
「右京、綺麗でしょ~?」
何故か忍がエヘンと胸を張った。
『「…ハニエルが来た…」』
「「え?」」
次の瞬間、突如床に魔法陣が浮かび上がり、何もない空間に旋風が起きた。
『「ご苦労だったな、ハニエル。」』
「…ウリエル様!?」
魔法陣から現れた虎太郎は“俺”を見て瞳を輝かせた。
「虎太郎くん!?
…無事でよかった…」
「お前もかよ!?」
ガクの様子と忍の言葉に虎太郎はニコッと笑った。
「忍さん、心配性だな~
右京に似てきたんじゃない?」
『「で?どうだった?」』
“俺”の言葉に虎太郎は「はい、それが…」と話出した。