とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
床に倒れたグリフォンに歩み寄り、跪いてその頭を撫でた。
ーー我ハ…タルタロスニ行クノカ…
『「喰い殺してたらタルタロス行きだった。
安心しろ。天界に戻す。」』
俺は立ち上がると「ハニエル!」と叫んだ。
魔法陣が現れ明るい茶髪の4枚の羽根を持った碧眼の天使が舞い降りた。
『はい、ウリエル様』
『「グリフォンを天界に連れて行け」』
『…御意…』
ハニエルがグリフォンを光に包むと後ろの扉が開く気配がした。
「右京!…!?」
見開かれた忍の瞳がハニエルを捉えた。
後ろから入って来たガクが「すげぇ…」と感嘆の声を漏らした。
その様子にハニエルは微笑んでからグリフォンと共に光の中に消えていった。
俺は羽根を隠し右京に戻ると二人に向き直った。
「被害者はいたか?」
「え?…あぁ見つけた。
…妹は居なかったがな…」
「…ガク。」
「なんだ?」
「妹は被害者じゃない。」
「へ?」
「恐らく儀式に参加したカルト集団の一員だ。」
「…」
「わからないのか?
虎太郎が相手をしたはずだ。」
そこまで言うとガクは目を見開いて慌てて部屋を出て行った。
その様子を見て俺は笑みを零した。
「右京、大丈夫だった?」
「あぁ、女神の“加護”を受けてたからな。」
そい言うと忍は「良かった」と笑った。
俺は忍の手を引いて部屋ガクの元に向かった。