とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
真夏の怪談
翌日の夜、虎太郎から電話が来た。
「グリフォンは無事に連れてったか?」
『あぁ、大人しくて助かった。
右京に謝っておいてくれと頼まれた。』
「フッ…そうか」
『あの後大丈夫だったか?』
「あぁ、ガクの妹も無事だった。
忍が妙に懐かれたみたいだけどな。」
『ガクの妹に?』
「ん。よくわからないけど“理想”なんだと。」
『?なんのこっちゃ…
右京は帰ってからイチャイチャ出来たんだろ?』
「それがさ…」
あの時の事を思い出し、つい溜め息が出る。
ガク達と別れウチに帰って来ると玄関で酔いつぶれて寝ている師範…
それ見た忍は、勘違いして救急車を呼んでしまい大騒ぎになった。
「あの師範がただで死ぬわけねーっつーの」
俺の話を聞いて虎太郎は爆笑していた。
『ククク…んじゃ明後日みんなで師範の見舞いに行くわ。』
「来なくていい…」
『“怪談”するってノリノリだぜ?』
そういえば、そんな話もあったな…
「しゃーねぇな…分かったよ。」
俺は電話を切るとそのまま横になり寝てしまったみたいで、目が覚めた時は既に朝だった。