とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
日課となっている朝稽古をこなす。
グリフォンとの一件でウリエルの力に頼りすぎた自分に納得がいかなかった。
師範に柔術の稽古を頼むとあっさり断られた。
「ワシは歳じゃ。右京の相手が出来るほど体力ないわい!」
そうキッパリ言い放たれ落胆すると「ゲンさんの所に行け」と付け加えた。
その手があったか!
軽く師範と剣術の手合わせをしてから居間で朝食を取ると、早速玄武師範代に電話をかけた。
師範代は快く受け入れてくれた。
「あとでおいで」と言う師範代にお礼を言って電話を切った。
「玄武さんの所行くの?」
「ん。じじいが老いぼれて相手にならないからな」
俺の台詞に忍は苦笑した。
「そういえば昨日虎太郎が“怪談”するって言ってたぞ?」
「セリから聞いた!明日でしょ?
みんなで夕食会にしようと思ってるんだ~」
楽しそうに話す忍が可愛く、頬に軽くキスをした。
「なにしとる!色魔天狗!」
「ぬぉ!?」
突然首根っこを掴まれ、師範に足を払われそのまま畳に叩きつけられた。
「早くゲンさんの所に行かんかい!
さもなくばワシが締め上げてやるわい!!」
「全然体力あるじゃねーか!」
俺は師範から逃げ回りながら自室に戻った。
結局師範が居るとこうなるんだな…
いつもと同じ展開に深い溜め息をついたのだった。