とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
道場を出ると俺のバイクをジロジロと見ているツンツン頭が目に入った。
「おい!」
その声にツンツン頭は俺を見て笑顔になった。
「右京さん!?」
「真也!?なにしてんだ?」
ツンツン頭は師範代のひとり息子の真也だった。
「これ右京さんのバイク!?
かっけーなぁ…」
「乗せてやろうか?」
「マジで!?やったぁ!」
飛び跳ねるように家の中に向かって「右京さんと出掛けてくる!」と叫ぶと早速バイクに跨った。
その行動の早さに吹き出した。
「相変わらずテンション高いな」
「そぉ?」
「かわいい奴」
そう言うと真也にメットを被せてやった。
「俺腹減ったから何か食いに行こうぜ」
「俺も~♪」
真也を乗せてしばらく走り繁華街に入ったところで信号に捕まった。
隣にバイクが同じように停止したのに気付いた。
「黒崎さん!デートですか!?」
「よぉ!飯食いに行くんだよ」
「いいっすね~今度自分とも行きましょう!」
「ん。暇だったらな~」
信号が変わり「じゃあまた~」と言うと走り去った。
ファミレスでランチを頼んだ後、真也は興味津々な様子で俺を見つめた。
「なんだよ、さっきから…」
「…右京さんってチーマーなの?」
「はぁ?んなわけねーだろ」
「さっきの人、チーマーでしょ?」
「ん。そうだな。ちょっとした知り合いだよ。」
「右京さんって謎が多いって学校でも噂だよ?」
確か真也は今年から俺と同じ高校だっけか…
学校では噂になる程問題起こしてないんだけど…
「見た目が悪いからだろ?」
「右京さんかっけーよ!
女にも人気あるけど、男からの人気はすげーって!」
興奮気味に話す真也に苦笑すると急に声を潜めた。
「右京さん。あちこちで女遊びしてるってホント?」
真也の言葉に飲んでいたコーヒーをまた吹きこぼした。
「なんだよ、その噂は!!」
「違うの?」
「ありえねーだろ!」
「だよね…忍さんいるもんね…」
「俺は忍以外興味ねーの!
つか噂って怖っ!!」