とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
“神隠し”の一件は被害者が一斉に帰ってきたが、どこで何をしていたかの記憶が一切なかったため、警察も単なる家出として片付けたようだった。
「あれは絶対宇宙人の仕業よ!」
アイコが真剣な顔をしてそんな事を言って皆を爆笑させていた
。
終いには「首なしライダーも宇宙人かも」と言い出してさすがの俺も吹き出した。
「きっと顔がものすごく小さいか、腕が異常に上のほうにあるのよ!」
「ククク...逆にすげー見たいわ!」
腹を抱えて笑う陸はアイコにポカポカ殴られていた。
「そういえば、よく海で足を誰かに引っ張られて溺死しちゃうって話もあるじゃない?」
「それ聞いた事ある!海で死んだ人の霊の仕業らしいな」
「ククク...宇宙人じゃなくてよかった。いってぇー!」
「リクしつこ~い!」
じゃれ合う陸とアイコを無視して話を進める。
「その噂の海なんだけど、どうやらD半島の海岸らしいの!」
「意外と近いな...」
「...じゃあ、皆で海行かね?
お流れになったプールの代わりにさ」
「えええ!?虎太郎くん、本気!?」
虎太郎が言い出したって事は“怪しい”と踏んだからだとすぐ気付いた。
「行くなら泊まりがいいな...」
ボソッと言った俺に女性陣にじぃーと見られた。
「...なんだよ...」
「...右京くん、エッチな事考えてるんじゃないでしょうね?」
「フッ...そんなこと常に考えてるに決まってるじゃないか。」
なぜか俺の代わりに寛二がキッパリ言うと、女性陣はきゃーきゃー言い出した。
「男なんて皆そうだろ!なぁ、ウリ坊?」
「俺に振るなよ!!」
「いやあぁぁ!!
どうせ頭より下半身で考えてる比率の方が高いんでしょ!?」
セリがとんでもない発言をして俺を含め男性陣は「獣かよ!」と突っ込んだ。