とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
当初の予定だと“怪談”だったのに、なぜか脱線に脱線を重ねて全く怖くない集まりになってしまった。
...いや、ある意味怖いから“怪談”で間違いないのかもしれない...
「最近は夜な夜な集まってるオカルト集団も多いみたいだし、変なのに引っかかるなよ~?」
虎太郎は一番怪しいアイコに向かって言った。
「オカルトで思い出した!忍、あの子どうなった?」
「あの子?」
「ほらバイト先が一緒の子いたじゃない!オカルト同好会に入ってる子!」
「美鈴ね?...そういえばバイトも全然来てないの...」
「あ~あの気色悪い女か。」
そもそもオカルト同好会が本当にあることに驚く。
「胡散臭いサークルだな...」
「美鈴はあのサークルの岡本先輩狙いだったのよ。」
「確かにイケメンだけど、ちょっと気味が悪いのよねぇ...
」
「でもきっとその岡本センパイより、俺の右京の方がイケメンなはず!」
「...俺のって...いつ虎太郎の彼氏になったんだよ...」
また虎太郎の変な癖がでてセリ達に哀れまれた。
そうして時間も11時を回ったところで“怪談”と言われていた集いがお開きになった。
「来週は海な~!」と元気に帰っていく陸と寛二に、おう!と答えて溜め息を吐いた。
...何事もなければ楽しめるはずなんだけどな。