とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
“海辺の怪”
「なぁ…海と聞いて何を連想する?」
「ナンパ!」
「女?」
「ビキニ♪」
「…」
はあぁぁぁ…と思いっきりカウンターに突っ伏す俺。
「なんなんだ!?辛気くせーな!」
カウンターの内側からガクが俺の頭に拳を振り下ろした。
俺は頭をさすりながら顔を上げた。
「忍、ビキニ着るのかな…」
「はぁ?お前そんな事でしょげてんの!?」
「右京にとっては一大事なの!
こんなに可愛くなっちゃって~」
俺に抱きつく虎太郎をゴウは半眼で見つめた。
axelのハイテンションな店内と対称的な俺のテンションの低さにsevenのメンバーまでもが不振がる。
「黒崎さんの彼女、美人ですからね~…
あれじゃ心配になるのも無理ないっすよ!」
「別に裸見せる訳じゃねーんだから、いいじゃねーか!」
「同じようなもんだろ!」
あの白くて滑らかな肌を他の男達も見るのかと思うと腹が立った。
「そんなに嫌なら、せめて一緒に選んだらどーっすか?」
その手があったか!
「お前、名前は?」
「俺っすか?ジンヤです!」
「ありがとな!ジンタ!
ガク、また来るわ!」
今なら忍もまだ起きてはず!
俺はさっさと出口に向かった。
「俺、ジンヤっすよぉ…」と言う声も耳に入らなかった。