とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
家に帰るとバタバタと階段を駆け上がり、忍の部屋をノックする。
返事も聞かずにドアを開けるとベットに寝そべって雑誌を見ている忍に駆け寄った。
「なっ…何事!?」
俺のただならぬ勢いに驚く忍の両肩を掴むとベットに飛び乗った。
「忍!
俺、忍の水着選ぶ!」
「はぁ?何よ、いきなり…」
「だからぁ~忍の水着を選びたいの!」
「…水着くらい自分で選びたいんだけど。」
「絶対だめ!」
ゴネる俺に溜め息を付くと雑誌を見せた。
「今丁度雑誌で見てたの。
一緒にえらぶ?」
目をキラキラさせる俺にニッコリ笑うと、忍は少し横にずれて隣をポンポンと叩いた。
促されるまま忍と並んで寝そべると雑誌に目を向けた。
「これはダメ。」
「え!?…じゃあコレは?」
「ダメ!」
「あ!これ可愛い~♪」
「却下!」
「…右京」
「あ?」
「あんた選ぶ気あるの?」
「ったりまえ!選ぶ気満々だぜ?」
睨む忍に俺は真剣に答えた。
「じゃあ右京。
この中で私に着せたい水着はどれ?」
「着せたいヤツ?」
「そう。右京だけに見せるとして。」
「ん~…コレ!」
「さっき却下してたじゃない!」
「他の男に見せたくないの!」
「なんでそんなに独占欲強いのよ!」
「…いつも忍を独占してたいんだ…
…俺だけの忍がいい…」
コツンと忍に頭を付けると、忍は俺の銀髪を掻き上げて額にキスをした。
「嬉しいよ、右京」
「ホント?」
「うん。」
「…じゃあ、こっちの水着に…」
「嫌」
「…」
「…その手には乗らないわよ?」
チッ…さすが忍…手ごわいな…
「…わかったよ…せめて布面積がもう少しあるやつにしてくれ…」
結局、俺はまた忍に負けたのだった。