とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
何が起きたか理解するのに時間がかかった。
「右京隙だらけじゃ…
逆手はよい手だが、ワシの突きはかわせまい」
強烈な突きを受け、仰向けで倒れてた俺は悔しくて唇を噛んで嬉しそうに笑う師範を睨み付けた。
「く…くっそー!きたねーぞ!ジジイ!」
「誰がジジイじゃー!」
キレた師範は持っていた木刀を俺に投げつけた。
「げ!?」
俺はとっさしゃがむと床に両手を付き、一陣の風を巻き起こし師範の木刀を跳ね返した。
「右京~~!!」
つい反射的に使った力に更に師範がキレた。
師範が俺を“天狗”の子と言う理由はこの力のせいでもあるが、道場では禁止されていた。
それから夕飯までの間、師範の説教が続いたのだった。