とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
海岸に戻った時、すでに日は西に傾いていた。
「遅い!
で、見つかったの?“忘れ物”は…」
「あった。忍へのプレゼント。」
「あ!ピアス!?
かわいいじゃ~ん♪
良かったね~忍!」
「…うん」
忍は少しはにかみながら答えた。
「俺達疲れたから旅館戻るぞ~」
「えっ!?もぉ!?」
「そーいやー虎太郎は?」
「…まだ旅館で探してる…のかも…」
と、適当にごまかした。
砂浜に座って沈む夕陽を眺めた。
夕陽に照らされた忍の横顔が凄く綺麗だった。
…“この横顔を守りたい”と
俺はまた改めて思ったんだーー
この先何年経ってもずっと守っていたい…
そんな叶うかも分からない願いーー
そう…たったひとつの俺の願いーー
俺はもしかしたら、この時分かってたんじゃないか?…
だから俺はあのピアスを忍にあげたのかな…