とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
店に入りカウンターに座るとガクに「よぉ」と声をかけた。
「来たか、黒崎。」
「お前の店の客層、おかしいだろ…
なんであんなのばっかなんだ?」
「さっきの喧嘩の事か?
アイツらなら追い出したぞ?」
「知ってる。
店の前で乱闘騒ぎになってたぜ」
眉間にシワを寄せたガクに「収まったけど」と付け加えた。
「凄かったっす!!
15秒で6人っすよ~!?
秒殺っす!!
マジ、ヤバい…かっけーって!!」
「…」
半眼で俺を見るガクの視線が痛い…
「ジンヤ…お前も黒崎を見てねーで騒ぎ止めろや…」
「勘弁してくださいよ~俺人間ですから…」
「おい…俺は妖怪か?」
そう言う俺の首に手をかけ、ガクは顔を近づけて小さい声て言った。
「まさか全員“火あぶり”なんてしてねーだろうな?」
「してねーよ!!」
一体俺をなんだと思ってんだ、こいつら…
しばらく考えた様子のガクは俺を見て「黒崎」と声を発した。
「“バイト”しねーか?」
「“バイト”?…嫌な予感しかしないんだが…」
「ここの“用心棒”兼ウェイターだ。
時給はそうだな~…2000円でどうだ?」
「悪くないな…が、ウェイターは俺似合わないだろ…」
「んなことないだろ。
…それにもう少しで“誕生日”だろ?
金稼ぎてーんじゃねぇの?」
ガクはニヤリと笑った。
「…妹から聞いたのか…
筒抜けだな…」
確かに11月に忍の誕生日がある。
ここで稼げるのはおいしいかもしれない。
「OK!乗った!」
俺の返事にガクはニカッと笑った。