とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
数日後、axelのカウンター内でカクテルを作っていると、「やっぱり右京だ!」と言う声に顔を上げた。
「陸!?何してんだ?」
「それはこっちの台詞だっつーの!」
陸は「俺にも何か作って~」とにっこり笑った。
「駅の反対側にあるクラブに居たらaxelの噂を聞いたんだよ」
「どうせロクな噂じゃねーだろ?…!いっつ~…」
隣に居たガクが拳を頭に振り下ろした。
「axelの用心棒に銀髪の“守護神(ガーディアン)”って呼ばれるヤツが居るってさ!」
守護神…
ふっ…また皮肉としか思えない通り名だな…
頭をさすりながら苦笑する俺に陸は話を続けた。
「人間離れした強さって聞いてすぐ右京だって分かったよ!」
「ぶっ!人間離れって…ククク」
「うるせーよ…ゴウ」
「確かに黒崎さんの強さは半端ねぇっすからねー!」
ジンヤは頬を染めながらウンウンと頷いた。
「で、…右京は何をしたの?」
オレはノンアルコールのカクテルを陸に渡しながら「大した事してねー」と答えた。
「黒崎さんにとっては大した事ないんすよ…
15秒で6人をフルボッコにした時は鳥肌モンでしたよ~」
「15秒で6人!?」
「昴をつまみ出した時もさいこーだったぜ?」
「昴って…まさか、sevenのトップ!?」
爆笑するゴウとジンヤを見て陸は「そりゃ“守護神”だな…」と呟いた。
「オレは評判の悪いaxelが嫌なだけだ!
ガクの大切な店だからな!」
「フンッ…お前のせいで大切な店が破壊されるんじゃないかが心配だ。」
ガクは少し照れたようにそう言った。
会話を聞いていた陸はガクに「いい店じゃん!」と言った。
「怖くて来れなかったけど、来てみて良かった!
また来ていいかな、マスター!」
「…あぁ。いつでも大歓迎だ!」
ガクはすごく嬉しそうに笑った。