とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
夏休み最後の週は夏祭りがあり、久しぶりに忍とデートの約束をした。
「忍の浴衣姿が見たい!」とわがままを言うと、予想通り嫌そうな顔をしていた。
夏祭り当日、忍は浴衣を着ていた。
「ヤバい…忍」
「へ?何が?」
「忍、可愛すぎる!」
忍は「何言ってんの」と言ってクスクス笑った。
夕方になり浴衣を着て駅まで忍と並んで歩く。
だんだんと人が増えだし、はぐれたら大変なので忍の手を握った。
「花火まで1時間くらいあるね。
右京、何食べたい?」
「忍が食べたい。」
「はいはい。たこ焼きねー」
「…何故?」
花火の見えそうな位置に移動してたこ焼きを頬張る忍を見て微笑んだ。
「美味しい?」
「うん!」
「忍、ソース付いてる」
俺は口の端に付いたソースをペロリと舐めると忍に「何するのよ!」と怒られた。
「いいじゃん…ソースくらい…」
「じゃなくて!」
「ククク…照れんなよ、そんな事で~」
忍とじゃれあっていると、「黒崎さん?」と声が聞こえた。
振り返るとsevenのヤツらと目が合った。
「やっぱり黒崎さんだ!
今日は仕事休みですか?」
「おぅ、お前らか。
今日は浴衣デートだから休みぃ~♪」
忍をぎゅっと抱きしめながら答えた。
「あの黒崎さんが…」
「彼女の前だとかわいく見えるから不思議…」
「…意味わかんねーし…
かわいいのはうち彼女だろ?」
「それはもう!
axelでは有名ですから~」
俺達の会話を聞いて、忍は目を潤ませて真っ赤になった。
「「「…」」」
そんな忍を見て頬を染めたヤツらに「ダメだぞ!」と慌てて忍の顔を自分の胸に引き寄せて隠した。
「忍は俺の女だからな…」
「わっ…分かってますよ!」
「なんすか!?その半端ない警戒は!!」
「普通に傷つくんすけど~」
俺達の笑い声が響いた時、ドーンという音が聞こえた。