とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
「始まった!」
「ここ、いい位置ですね~」
「俺らもどっか探します!」
そう言うと「じゃあ」と頭を下げてsevenのヤツらは去って行った。
「…やっと邪魔なのがいなくなった」
「もう!またそんな言い方して…」
忍は俺の言葉に苦笑しながら困ったような顔をした。
次々上がっては消えていく大輪の光に「綺麗ね~」と感嘆の声を漏らす忍。
「…ホント…すげー綺麗…」
光に照らされた忍の横顔の美しさに見とれてボソッと言った。
俺の視線に気付いたのか振り向いた忍は呆れた顔になった。
「右京…ちゃんと見てる?」
「ん。見てるよ、ちゃんと。」
忍から目を逸らさずに答えると、「ばか」と小さい声が聞こえた。
俺はそっと忍の顎に手を添えて腰を屈めた。
「凄く綺麗だよ、忍…」
そう囁いてキスをした。
忍は赤い顔のまま、もう一度「ばか」と呟いた。
忍を後ろから抱きしめたまましばらく花火を眺めていると、忍が口を開いた。
「さっきの子達、“axelで有名”って言ってたけど…」
「あぁ、俺が気色悪い女に纏わりつかれて不機嫌にしてるから、ガクがその度に忍の話するんだよ。」
「ガクさんが?」
「そ。“黒崎の女には勝てないから諦めろ”ってさ!」
「えっ!?」
「その話が広まったみたい。」
俺がクスッと笑うと忍は溜め息を付いた。