とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
オーダー表を見て手早くカクテルを作り始めた。
「…そんなに見つめられるとキンチョーすんだけど…」
「ふふっ…気にしないで?」
忍はニコッと笑ってまた俺をじっと見つめた。
「あれ!?黒崎さん!
忍さん、お久しぶりです!
今日はデートじゃないんっすか?」
「ジンヤくん!
右京がお店気にしてたから来てみたの。」
「さすが黒崎さん!
助かります!
…それにしても…忍さん、今日は色っぽいっすね~」
俺はニヤニヤと忍を見るジンヤの目の前にドンッ!!とカクテルを置くと「持ってけ」と不機嫌に言った。
カウンターから出ようとするとゴウからオーダー表を渡された。
「…なんだよ…」
「オーダーだ。」
「知ってるっつーの!
俺、今日浴衣デートなの!」
「そうみたいだな。
3番テーブルにソルティ・ドッグ2つ。」
睨む俺を無視してゴウはゴウで別のカクテルをトレイに並べた。
「ゴウさん、私暇だから持ってってあげるよ。」
忍は慣れた手つきでトレイを受け取った。
「助かるよ~忍ちゃん!
あの奥のテーブルによろしく!」
「おい、人の女使うなよ…」
「いいから、右京!
行って来るね!」
忍がフロアに歩き出したのを見ながらグラスにカクテルを注いだ。