とある堕天使のモノガタリ ~INTROITUS~



オーダー表を見て手早くカクテルを作り始めた。


「…そんなに見つめられるとキンチョーすんだけど…」

「ふふっ…気にしないで?」


忍はニコッと笑ってまた俺をじっと見つめた。


「あれ!?黒崎さん!

忍さん、お久しぶりです!
今日はデートじゃないんっすか?」


「ジンヤくん!

右京がお店気にしてたから来てみたの。」

「さすが黒崎さん!

助かります!

…それにしても…忍さん、今日は色っぽいっすね~」


俺はニヤニヤと忍を見るジンヤの目の前にドンッ!!とカクテルを置くと「持ってけ」と不機嫌に言った。


カウンターから出ようとするとゴウからオーダー表を渡された。


「…なんだよ…」

「オーダーだ。」

「知ってるっつーの!

俺、今日浴衣デートなの!」

「そうみたいだな。

3番テーブルにソルティ・ドッグ2つ。」


睨む俺を無視してゴウはゴウで別のカクテルをトレイに並べた。


「ゴウさん、私暇だから持ってってあげるよ。」

忍は慣れた手つきでトレイを受け取った。


「助かるよ~忍ちゃん!

あの奥のテーブルによろしく!」

「おい、人の女使うなよ…」

「いいから、右京!

行って来るね!」


忍がフロアに歩き出したのを見ながらグラスにカクテルを注いだ。



< 163 / 405 >

この作品をシェア

pagetop