とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
ゴウはフォカロルの後ろ姿を見て俺に近付くと「知り合いか?」と聞いた。
「ん。俺の忠実な“犬”…かな?」
「…“犬”…
2匹飼ってたんだな…」
「ぷっ…そうらしい。」
もう一匹の“犬(虎太郎)”を思いだし、あまりにもピッタリな代名詞に吹き出した。
完璧に俺の指令をこなしたフォカロルは俺達の前に戻って来た。
「お前、名前は?」
「ワタクシはフォ…」
「あああああぁ!!っ…と待て!
その前に話がある!
ちょっと面貸せ!!」
俺は慌ててフォカロルの首を掴むと引きずって奥の個室に放り込んだ。
「お前、空気読めよ!!
あの場で本当の名前名乗ってどーすんだよ!!」
「…もっ…申し訳ございません!!」
俺は溜め息を着くとシュン…としたフォカロルに説教をした。
「…そいつも天使なのか?」
「元だ、元!!今は悪魔…って…ええ!?」
そこにいないと思っていたヤツの声に驚きソファから飛び上がった。
「お前が驚いてどーすんだよ!
俺の方がビビるわ!」
「わりぃ…
コイツこの前行った海で拾ったんだよ。」
「申し遅れました。
ワタクシはフォカロル…人間界では“水島 潤”と名乗らせて頂いております。」
そう言って“水島 潤”は深々と頭を下げたのだった。