とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
ガクは潤をマジマジと見つめて低く唸った。
「う~ん…これが本当に悪魔か?
…イメージが違うな…」
確かに人間化した姿は悪魔に見えなかった。
真っ直ぐな黒い長髪を後ろで束ね、深い紺色の瞳はパッチリと大きな美形の青年だった。
なんと言うか…
「かわいいな…女かと思った。」
そうガクに言われて潤は真っ赤になった。
「…確かにかわいいな…」
俺もガクに賛同すると、「止めて下さい!」と両手で顔を覆って照れた。
「なぁ黒崎。
潤は強いのか?ものすごく弱そうななんだが…」
「元・座天使だから、“力”はあるはずだが…」
「…ワタクシはあまり争い事は好きではありません…」
「…見ればわかる。」
「だな…黒崎が居ないときの用心棒にと思ったが…無理だな…」
用心棒にはならないけど、助っ人にはなるかもしれない。
…が、潤にはもう一つ役目があった。
「ガク、潤は用心棒には貸せない。
潤は忍の護衛役だからな。」
「心得ております。
忍様が危険とあらば、命に代えでもって御守り致します。」
その迷いのない言葉に「期待してるよ」と微笑んだ。
それを見てガクは肩を落としてこう言った。
「どっかでまたなんか拾ったたら、こっちに回してくれ…」