とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
そのDJは昼間にバイクで事故を起こしたらしい。
新しく出来た彼女と一緒にバイクで国道を走っていた時に転倒した。
彼は10m吹き飛ばされ全治4ヶ月の重症だったが奇跡的に一命を取り留めた。
だが病院に救急で運ばれたのは彼だけで、一緒に居たはずの“彼女”は居なかったという。
「DJのヤツに彼女が居たってのが嘘だったんじゃねーか?」
「かもな。
だが…もし本当に居たとしたら?
その“彼女”…
…人間か?」
「…」
なるほど。
「興味深いな。」
「だろ?
ま、何か分かったら教えてやるよ」
「あぁ、頼んだ。
俺も“犬”に頼んでみる。」
「早速来たみたいだぜ?
忠実な“犬”が…」
ガクが指差した先には虎太郎と陸が居た。
「思ったより早かったな。」
「右京に会いたかったから♪」
「…ガク…摘み出していいか?」
虎太郎は「なんで!?」と涙目になっていたが、気にせずせっせとカクテルを作った。
注文が落ち着くと陸が女をナンパしに行ってる隙にDJの話をした。
一通り話を聞き終えると虎太郎は真剣な表情になった。
「なるほど。
調べてみる価値、ありそうだな」
「ん。お得意のハッキングでよろしくな!」
「失敬な!
純然たるIT社会の活用法だ!」
俺はカウンターに肩肘をついて「はいはい」と相槌を打った。