とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
しばらくして陸がナンパに成功したのか、女を2人連れてカウンターに戻ってきた。
俺はそれをダルそうに半眼で見ていた。
「右京、彼女達になんかお願いね~♪」
「あいよ。」
明らかに未成年だったのでオーダーを聞かずにノンアルコールのカクテルを作った。
「陸くんって“守護神”さんとお友達なの!?」
「“右京”さんって言うんだ~!ずっとイケメンだと思ってたんですよぉ~」
「...そりゃ、どーも。」
俺のあまりの不機嫌さに女2人は凍りついた。
「気にしないでいいよ、コイツいつもこうだから~」
虎太郎のフォローに溜め息をついた。
それをとなりで見ていたらしいガクは肩を揺らせて笑っていた。
「そうなの?...すごく怒ってるように見えるんだけど..
.」
「怒ってない。不機嫌なだけだから。」
女にキッパリそう言うとガクがついに「ぶっ!!」と吹き出したのが判った。
横目でそれを睨みながら黙ってシェイカーを振る。
「悪いねぇ…
うちの黒崎は自分の女以外にはみんなこんな態度なんだよ…」
「…彼女さん居るんぁ…」
「どんな人!?興味ある!」
「ん~…スゴい美人だよ?
ちょっとツンデレだけど、なんて言えばいいかなぁ…」
「“女神”」
「…え…?」
「アイツは俺の“女神”」
つい忍の事を思い浮かべて頬が綻んだ。
それを見てみんなが次第に赤くなった。
「う…右京ぉぉぉ!!
お前は俺の“天使”だぁぁ!!」
「あぶっ!…邪魔だ、変態!!」
虎太郎に抱き付かれて危うくカクテルを零しそうになった。