とある堕天使のモノガタリ ~INTROITUS~


俺は忍から紙袋を受け取りながら後輩を呆れた顔で見た。


「なに緊張してんの?」

「いや、まさか先輩の彼女に会えると思ってなくて…

ヤバいっすね…モデルさんですか!?」

「え!?そんな訳ないじゃん!!」


真っ赤になって否定する忍を見てガクは唸った。


「忍ちゃんがモデルなんてしたら、黒崎がファン片っ端から殺すだろうな…」

「言えてますね…

忍さん!それだけは勘弁してください!」


ジンヤが真顔で言うと忍は「ないない」と苦笑した。


「これサンドイッチ?」

「ん。多めに作って来たからみんなも食べて~」

「…俺のだけじゃないの?…」

「右京こんなに食べれないでしょ?」


ふてくされる俺に忍は溜め息を付いた。


「いっただきま~す♪」


どこからともなく現れたゴウがひとつ摘んでパクリと食べた。


「テメーどっから現れた!

待て!食うな!」


逃げ回るゴウを捕まえて締め上げるとみんなが「早まるな、黒崎!」と慌てた。


「あははは!

やべー!ここ楽しいっすね!」


後輩は腹を抱えて笑いながらそう言った。


ガクは「いつでも来い」と微笑んだ。


「俺、奥で食うわ。」

「別にここでもいいぞ?」

「…デザートもあるから奥がいい」


忍を見つめて目を細めるとみんなが真っ赤なった。


「ばっ…ばかじゃないの!?」

「…外でも忍ちゃん襲おうとするくらいバカだし…」

「…間違えなくバカだな…」

「…先輩…なんつーか…色気が…」

「黒崎さん、俺も襲われたいっす…」


みんな言いたい放題言っていたが、気にせずカウンターを飛び越えて忍の手を引いて奥の部屋に行った。



< 201 / 405 >

この作品をシェア

pagetop