とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
俺は忍から紙袋を受け取りながら後輩を呆れた顔で見た。
「なに緊張してんの?」
「いや、まさか先輩の彼女に会えると思ってなくて…
ヤバいっすね…モデルさんですか!?」
「え!?そんな訳ないじゃん!!」
真っ赤になって否定する忍を見てガクは唸った。
「忍ちゃんがモデルなんてしたら、黒崎がファン片っ端から殺すだろうな…」
「言えてますね…
忍さん!それだけは勘弁してください!」
ジンヤが真顔で言うと忍は「ないない」と苦笑した。
「これサンドイッチ?」
「ん。多めに作って来たからみんなも食べて~」
「…俺のだけじゃないの?…」
「右京こんなに食べれないでしょ?」
ふてくされる俺に忍は溜め息を付いた。
「いっただきま~す♪」
どこからともなく現れたゴウがひとつ摘んでパクリと食べた。
「テメーどっから現れた!
待て!食うな!」
逃げ回るゴウを捕まえて締め上げるとみんなが「早まるな、黒崎!」と慌てた。
「あははは!
やべー!ここ楽しいっすね!」
後輩は腹を抱えて笑いながらそう言った。
ガクは「いつでも来い」と微笑んだ。
「俺、奥で食うわ。」
「別にここでもいいぞ?」
「…デザートもあるから奥がいい」
忍を見つめて目を細めるとみんなが真っ赤なった。
「ばっ…ばかじゃないの!?」
「…外でも忍ちゃん襲おうとするくらいバカだし…」
「…間違えなくバカだな…」
「…先輩…なんつーか…色気が…」
「黒崎さん、俺も襲われたいっす…」
みんな言いたい放題言っていたが、気にせずカウンターを飛び越えて忍の手を引いて奥の部屋に行った。