とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
奥の部屋で忍が入れたお茶を飲みながらサンドイッチを食べた。
「今日出掛けてたんだって?」
「ん。またヤツらが出たっぽいから調べて来た。」
“ヤツら”と聞いて忍は表情を強ばらせた。
「今回はちょっとヤバいかも…」
「…何か手伝える事ある?」
俺は心配そうな忍に優しく微笑むと「大丈夫だよ」と言った。
「それに忍を危ない目に遭わせたくないから…」
「…どうするつもり?」
「“やられる前にやれ”だな」
忍は諦めたように溜め息を付いた。
「そっか。
ん…右京なら大丈夫。」
どこからその自信は来るんだ?と突っ込もうかと思ったが、言葉とは裏腹に不安そうな表情の忍におもわず黙った。
「あぁ…俺は大丈夫。
あっちに“守護神”が付いてるなら、こっちには“女神”が付いてるからな」
そう笑うと忍は涙目のまま笑った。
俺はそっと顔を近付けると、忍は静かに長い睫を伏せ「加護を…」と呟いた。
触れた唇を離すと「ありがとう」と俺は忍の頬を撫でた。