とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
その後まだバイト終了までかなり時間があった俺は、ひとりで帰ろうとする忍を説き伏せ潤を護衛に付けた。
潤はやる気満々な顔で「お任せ下さい!」と言うと後ろからついて来た。
カウンターに戻った俺にゴウが潤を指差し「こいつが潤か?」と聞いた。
「ん。一応言っておくが男だぞ。」
「…そうなのか…かわいいな…」
そう言われて潤は顔を赤らめた。
やがて忍は潤と一緒に店を出ていった。
「潤ちゃんまた呼んでくださいよ~
俺潤ちゃんが男でもいいっす!」
俺とガクは微妙な顔をして沈黙した。
「…そっ…そのうちな…」
歯切れの悪い言い方にジンヤは口を尖らせたが、コレばかりは仕方ない。
そんなリスキーなお願いに安易にOKと言うわけにはいかない。
だってアイツあれでも悪魔だし…
「…黒崎…
潤はかわいいが…必要最低限で頼むわ…」
「分かってるよ…」
俺とガクはひそひそと、そんな会話を交わしたのだった。
そろそろバイトをあがろうかという時間になり、ガクが俺を呼んだ。
奥の部屋に入ると、まず事故現場について報告した。
黙って最後まで聞き終えると、ガクは厳しい表情のまま口を開いた。
「その悪魔はお前虎太郎に任すしかなさそうだな…
消えた女については俺も情報集めてみる。」
「あぁ…それともうひとつ。」
そう言うと、虎太郎から先ほど聞いた話をガクに話した。