とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
家に帰って来ると忍はすでに寝ていたが、俺の部屋では潤がベットの上に寝転びながら漫画を読んでいた。
「おかえりなさいませ!」
俺の顔を見てベットの上で慌てて正座をし、そう言う潤を半眼で見つめた。
「…なんでまだ居る…」
「ご報告しようかと思いまして…」
「なんかあったのか?」
「結論から言うと何もありませんでした。
…が、お店を出てすぐ尾行されました。」
潤の言葉に俺は眉を寄せた。
「…ロレイか?」
「いえ、人間です。
女でした。
右京様が心配すると思ったので、途中で忍様の姿を消しましたので問題ありません。」
俺はホッとすると、潤の的確な行動に感謝した。
「さすが潤だな。
お前に任せて正解だった。」
そう言うと潤は嬉しそうに一瞬微笑んだがすぐ真顔になった。
「しかし、妬みに似た邪気を感じました。
ワタクシも今後気をつけてお守りしますが、右京様もお気をつけ下さい。」
「あぁ…そうだな。」
「ではワタクシはこれで…」
そう言って潤は消えた。
俺は両手で顔を覆うとうなだれた。
本来なら俺が守るべきなのに…
「情けねー…」
忍に何かあったらと考えると不安になった。
“妬み”…
…俺のせいか…
俺の側にいる事で忍に危害が及ぶ可能性が高くなるのか…?
ロレイや抗争の件で注意力が散漫になってたのも事実。
だから潤は俺に“忠告”したのだ。
だが、その時の俺にはどうしたらいいかなんて結論を出す事は出来なかった。