とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
さすがに夜になると薄暗かったが、俺には周りの風景も鮮明に見えた。
最近わかったことだが、人格がほぼ統合されウリエルはあまり口出ししなくなっていた。
ただ、自分が人間ではないという事がこういう時に嫌というほど思い知らされる。
さっきもゴウに「目がおかしい」と言われたが、おそらく翡翠色に光を帯びていたのだろう。
“特異体質”でゴウがどこまで納得するか...
そんな事を考えながらゆっくり建設中のビルに近づいた。
ふいに後ろに気配を感じ振り返るとジンヤが走ってくるのが見えた。
「黒崎さん!!俺も一緒に・・・」
「お前は来ない方がいい。ゴウの傍についててやれ。」
「ゴウさんなら今救急車が来たし、俺だってゴウさんをこんな目に遭わせたやつを一発殴りたいんすよ!」
その必死な様子になんだか笑えた。
「ククク...人間らしい考えだ。」
「俺ホンキっすよ!?」
「...ならひとつ理解してもらわないといけない事がある。」
「理解?…なんすか?」
「お前は“悪魔”を信じるか?」
その言葉にジンヤは黙り込んだ。
「...こんな時に何いってるんすか...」
「答えろ。重要なことだ。」
「...悪魔は信じないけど、おれ“天使”なら見たことあるんすよ...」
俺は驚いてジンヤを見た。