とある堕天使のモノガタリ ~INTROITUS~



「でも誰にも話したことないんです。

...ぜってーバカにされるの判ってるし...」

「それを聞いて安心した。」

「...まさか“悪魔”の仕業とか言わないですよね?」

「そのまさかだ。それともうひとつ。」



おれは話しながら上着を脱いだ。

仕舞い込んだ6枚の羽根を羽ばたかせてジンヤを見下ろして言った。

『「俺は人間じゃない...」』

「まさか...黒...崎さん...天使なんすか...?」

『「俺は“天使”ではない。」』

「でも...その羽根は...」


その時上のほうで物音が聞こえた。




『「ジンヤ。時間がない。お前はそこで誰も来ないように見張ってて欲しい。

...お前の分は俺が殴っとくからいい子にそこで待ってろ。」』


そう言って微笑むとジンヤは「...お願いします」と律儀に頭を下げたのだった。

< 210 / 405 >

この作品をシェア

pagetop