とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
「でも誰にも話したことないんです。
...ぜってーバカにされるの判ってるし...」
「それを聞いて安心した。」
「...まさか“悪魔”の仕業とか言わないですよね?」
「そのまさかだ。それともうひとつ。」
おれは話しながら上着を脱いだ。
仕舞い込んだ6枚の羽根を羽ばたかせてジンヤを見下ろして言った。
『「俺は人間じゃない...」』
「まさか...黒...崎さん...天使なんすか...?」
『「俺は“天使”ではない。」』
「でも...その羽根は...」
その時上のほうで物音が聞こえた。
『「ジンヤ。時間がない。お前はそこで誰も来ないように見張ってて欲しい。
...お前の分は俺が殴っとくからいい子にそこで待ってろ。」』
そう言って微笑むとジンヤは「...お願いします」と律儀に頭を下げたのだった。