とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
虎太郎は急に現れた俺に驚いた顔をした。
「ウリエル様!」
俺は羽根を仕舞うと虎太郎に目を向けた。
「遅いぞ、虎太郎。」
「ジンヤが通してくれなかったんだよ…」
「それよりaxelがヤバい。
俺を引き離す為の罠だ。」
それを聞くと虎太郎は瞳を碧く光らせた。
俺は手を翳して魔法陣を出現させた。
「お呼びでしょうか」
「axelに先に行け。
入口を誰も入れないように塞げ」
「御意」
潤は黒い霧と共に消えた。
次に虎太郎に向き直ると妖しく瞳を光らせたまま口を開いた。
「ジンヤを連れて来い。」
「御意」
ジンヤは呆けたように立ちすくんでいたが、虎太郎に抱えられると我に返った。
「えっ?えっ?…虎太郎さんも、潤ちゃんも天使なんすか!?」
「潤と一緒にするなよ…
アイツは悪魔だ。」
虎太郎はちょっとムッとした表情のまま跳躍した。
俺も跳躍してビルを跳び移ってaxelに急いだ。
axelの入口は潤の力によって塞がれていた。
…というより壁になっていた。
「すごいな…」
虎太郎がボソッと呟くとジンヤも「ありえないっす」と言った。
「さすがだな…
やることが完璧過ぎて怖い…」
そう言いながら扉がある辺りに手を着き「潤、入れろ」と言うと体が壁にズズズズと吸い込まれた。
中ではガクと昴が睨み合っていた。
潤はガクを庇うように昴を睨んでいた。