とある堕天使のモノガタリ ~INTROITUS~



虎太郎は急に現れた俺に驚いた顔をした。


「ウリエル様!」


俺は羽根を仕舞うと虎太郎に目を向けた。


「遅いぞ、虎太郎。」

「ジンヤが通してくれなかったんだよ…」

「それよりaxelがヤバい。

俺を引き離す為の罠だ。」


それを聞くと虎太郎は瞳を碧く光らせた。


俺は手を翳して魔法陣を出現させた。


「お呼びでしょうか」

「axelに先に行け。

入口を誰も入れないように塞げ」

「御意」


潤は黒い霧と共に消えた。

次に虎太郎に向き直ると妖しく瞳を光らせたまま口を開いた。


「ジンヤを連れて来い。」

「御意」


ジンヤは呆けたように立ちすくんでいたが、虎太郎に抱えられると我に返った。


「えっ?えっ?…虎太郎さんも、潤ちゃんも天使なんすか!?」

「潤と一緒にするなよ…
アイツは悪魔だ。」


虎太郎はちょっとムッとした表情のまま跳躍した。

俺も跳躍してビルを跳び移ってaxelに急いだ。




axelの入口は潤の力によって塞がれていた。

…というより壁になっていた。


「すごいな…」


虎太郎がボソッと呟くとジンヤも「ありえないっす」と言った。


「さすがだな…

やることが完璧過ぎて怖い…」


そう言いながら扉がある辺りに手を着き「潤、入れろ」と言うと体が壁にズズズズと吸い込まれた。


中ではガクと昴が睨み合っていた。

潤はガクを庇うように昴を睨んでいた。



< 213 / 405 >

この作品をシェア

pagetop