とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
腕を放し昴に視線を向けると俺は顔を近付けた。
「…サルガタナスはどこだ?」
「なっ…なんの事だ?」
「お前が“守護神”って呼んでるヤツだよ…」
「誰が…教えるか!」
敵意剥き出しの表情で言う昴に溜め息を付いた。
俺は胸倉を掴んで思いっ切り頭突きを食らわすと昴は気を失った。
仕方ない…邪気を追うか…
「潤。術を解け。
コイツらの手当てと店の片付けも頼む。
…楯突いたら“死なない程度”にやっていいぞ。」
そう言うと潤は紺色の瞳を輝かせて怪しく笑った。
「虎太郎、行くぞ。」
「りょーかい!」
入口を開けると一気に邪気が外へ流れ出た。
俺と虎太郎はそれを追って建物の上に飛び乗ると、そこから跳躍して空に舞い上がる。
そして夜空に浮かぶ漆黒の羽根と純白の羽根は、邪気の流れを追って風の様に吹き抜けて行ったのだった。