とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
かなり大きな音を立てたが気にせず横穴に滑り込んだ。
その穴は丁度地下2階の天井と地下1階の床下に位置した通気口だったようだ。
ハニエルを先に行くよう促すと、30mほど進んだところで下を指差した。
俺は近くの金網に先ほど同様に指をならすとネジが焼けおちた。
地下2階への進入に成功すると目の前に大きな扉が見えた。
ハニエルに目で合図すると俺がこじ開けたその扉から入り込んだ。
開けた空間は倉庫のようだった。
入った途端に聞き覚えのあるギリギリと弦を引く音がかすかに聞こえた。
俺は4枚の羽で防御しつつ風を纏ってロレイの矢を弾き返した。
ハニエルはすぐさまロレイの位置を確認し、上を見上げた。
『ロレイは私が引き付けます。』
その言葉に頷くと俺は先を急いだ。
だんだんと濃くなる邪気の中進むと紫色に光るものが目に入った。
黒い長髪の人物に目が行く。
『「サルガタナス!!」』
俺の言葉にその人物は顔だけ振り返った。
「遅かったな、ウリエル。
さすがに人間界では思うように動けなかったか?」
紫色の光に包まれたその人物は妖艶に微笑んだ。