とある堕天使のモノガタリ ~INTROITUS~

誕生日




季節は10月に入り、昼間は多少暑いものの朝晩は過ごしやすくなった。


あの抗争のあと、昴は別人のように大人しくなったらしく、sevenのトップの座をガクに譲り渡し俺達の前に姿を現すこともなかった。


チーム間の抗争はサルガタナスが姿を消してから一気に沈静化した。

いつまで続くか判らないがとりあえずは平和な日々だった。



俺も自分の“宿命”を受け入れつつ、学校の担任に進路について話した。


俺が決めた進路…それは表向きは“海外留学”だったが実際はルシファー側の動きを探り、野望を阻止するところにあった。


だが、この事は師範には話したがどうしても忍に言えずにいた。

彼女の事だからきっと俺の決断に駄々をこねるでもなく、きっと賛成してくれるだろう事は判っていた。

だからこそ無理に笑う忍の笑顔が容易に想像でき、余計打ち明ける事ができなかったのだ。


師範に「時が来たら自分で話す」と言って忍には言わないように頼んだ。


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