とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
家に帰ると忍の部屋をノックする。
返事がない…
そっと部屋を開けたが忍の姿はなかった。
もしかして…と思い、自分の部屋に入るとベットで眠る忍が居た。
「ったく…びっくりさせんなって…」
独り言をいいながら忍の髪を撫でたが、全く起きる気配はなかった。
俺は溜め息をついて忍を眺めた。
「…寝かせとくか…」
とりあえず風呂に入って戻ってもまだスヤスヤ眠る忍。
しばらく悩んだが、やはり起こすのは可哀想な気がした。
静かに忍の隣に潜り間近でその寝顔を見つめた。
「…今日は寝言言わないんだな…」
ちょっとがっかりする。
また「だいすき」って言って欲しいな…なんて淡い期待をいだきつつ俺は忍を抱き寄せ眠った。
…夢の中の忍は「右京だいすきだよ」と言って俺の額にキスをくれた。
それだけですごく幸せな気持ちになった。
俺もだよ…
夢の中でそう返し、深い眠りに落ちたのだった。