とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
ーー起きてーー
そんな声がしたような気がして目が覚めた。
「ん…いまなんじ?」
半分寝ぼけた状態で聞くと「6時」と言われた。
「あと10分…」
「…遅刻するよ?」
だんだん頭が働き出した。
…忍の声だ…
「ん…そうだな…」
「朝稽古するんじゃないの?」
「…する…」
ぼんやり目を開け忍を見た。
「…忍…」
「なに?」
「…おはよ…」
「おはよー」
忍はクスッと笑いながら応えた。
俺はまだボーっとしたまま忍に手を伸ばして頬を撫でた。
「…忍…」
「だから、なに?」
「…起こして…」
「起こしてるじゃない」
「…ちゅーがない…」
「朝っぱらから何言ってんの?」
「…じゃ…寝る」
そう言って再び目を閉じた。
近くで忍が溜め息を吐いたのが分かった。
顔に何かが触れてくすぐったい。
…忍の髪か…
髪は触れたままだが、動く気配のない忍に痺れを切らした。
「…もう待てない」
俺は腕を伸ばして忍のうなじに手をやると引き寄せた。
「っん…」
何度かキスをするとだんだんよからぬ本能が支配してくる。
体を反転させて忍をシーツに押し付けた。