とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
師範は俺が“海外留学”を決めたからといって今までと変わりなく接してくれた。
…故に今朝も学校まで猛ダッシュである。
勢い良く教室のドアを開ける。
「…黒崎…アウトだ…」
容赦ない担任の一言にうなだれた。
そんな俺の日常。
平和な証拠だな…
そう思うとホッとした。
ホームルームで“体育祭”がどーのと話があったが、そんな事より今の俺にとっては忍の誕生日プレゼントの方が最重要事項だ。
クラス委員が参加種目を黒板に書いていたが、ずっと上の空だった。
「リレーはウリ坊だよな、やっぱり!」
突然自分が話題に上がり、我に返ると虎太郎に「今年もよろしく」と言われた。
「俺、パン食いが良かったな~」
なんて言ってみたけど即却下された。
「なんでもいいや。任せる。」
結局スウェーデンリレーのアンカーと長距離2000と言う一番人気のない種目に決まった。
こいつら、どんだけ俺を走らせるつもりなんだ…
男クラは毎年体育祭と球技大会で、物凄い団結力をみせる。
それにはいくつか理由がある。
まず、女子の注目を浴びたいと言う事。
次に共学クラスへの妬み。
そして、優勝時の報酬である。
「優勝したら担任が焼き肉奢ってくれるらしいぜ!」
「…目当てはそれか…」
俺はバカの集団に溜め息を付いたのだった。